鎮火牛とは・・・
以下引用-----------------------------------------------------
『ひぶせのうし』と呼ばれ、庫裡の土間に入った右手にあります。昔、この山には火事が多くお寺は何度も全焼しました。これを耳にした旅の匠が火の鎮まることを祈りながら彫った一刀彫りの牛をお寺に奉納したところ、それ以来、山から火事はでなくなりました。匠は左甚五郎と伝えられ、虚空蔵菩薩が丑寅の守り本尊であることから牛を彫ったそうです。(大本山清澄寺ウェブサイトhttp://www.seichoji.com/hibusenousi.html)
-----------------------------------------------------------------庫裡の間の空間は元々暗かったので灯りが必要だと私は考えました。そこで光を扱うことを決めました。庫裡の間には他にも美しい格子状の下駄箱がありましたが、それは今回の鎮火牛をテーマとした作品の邪魔になってしまうので暗室にすることで格子を消しました。
この作品で大切な事は、左甚五郎の彫刻と千ヶ崎慶一のインスタレーションの関係性でした。今回は鎮火牛の実体を消してゆく様な方法をとりました。なぜなら庫裡の間全体の空間を演出したかったからです。セザンヌの絵画の様に背景を描くことで世界観を作りだすことにしました。
部屋の入り口には左甚五郎が彫った鎮火牛が設置されており、両端には光を使った円状のインスタレーションを2つのブロックに分けて設置しました。それぞれのインスタレーション中央に設置したモニタには映像を展示しました。その映像は鎮火牛を3層のレイヤーで表現したものでありそれが微妙に動き、鎮火牛の下のランプが動き出すといった内容でした。
全体の展示
インスタレーション中央に展示された映像
展示空間を歩き回った時の映像
以下は展示空間の映像と作品のキャプションです。
タイトル 「鎮火牛」
サイズ 40秒
素材 アニメーション
説明
この作品は鎮火牛(ひぶせのうし)をモチーフにしています。鎮火牛とは、江戸時代に左甚五郎が彫った一刀彫の牛の彫刻です。鎮火牛が奉納される以前は山火事が多かったそうですが、鎮火牛が奉納されて以来火事が無くなったそうです。
山火事や津波、干ばつ、地震などの自然災害に対して人々は芸術作品を作ってきました。その時人々は災害を鎮めるといった願いとともに、未来に自分の作品を残す事を考えたでしょう。それは自然の風化に対する人類の抵抗だといえます。そのような芸術の根源もふまえ、鎮火牛が守ってきた清澄寺の歴史をこの作品は描き出しています。
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